【短歌五首】月夜/川村 透
 
・潮騒の振子ふるえし満月の、足指の砂、引潮が吸う

・踏みはずす、や、草むらが刈る君の足首、実らぬ身の実ソックスに生る

・雨よりも空よりも雲よりも濃く近く、ひととひとから、雫、
ぽつり。

・黒い夜おれをぶつなんどもぶつおまえのてのひら伝わってくる。

・黒髪の去りし助手席ひとすじの君、僕は僕だもう君じゃない。


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