シンメトリックな世界/
むらさき
粘膜が溶けるほど喉が乾くから
水が細胞に染み渡る音が聞こえる
心痛み眠れない12夜があってこそ
朝の光の中で微笑むことができる
美しいト音記号が
悲しそうなヘ音記号の上に成り立つように
皮膚への嫌悪がそこにあるので
魂への愛は戦う準備をする
そうやって
シンメトリックな世界に生きる僕たちは
時計の音が鳴り響く
死への廊下に立ったとき
生きてるという動詞の意味を
ようやく知ることになるのだ
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