レタ/日和
朝起きたら
郵便受けが手紙を銜(くわ)えていた
切手はないのに消印はある
宛名はあるのに差出人がない
ちぐはぐな手紙
開けてみると光が入っていた
光はみるみるうちに封筒から出てきて
それもたっぷりと零れ落ちてきて
まだパジャマ姿の私にまとわりついてきた
身体をすり寄せる野良猫のようだと密かに思った
この眩しい奴に名前を付けてあげなければ
訳も分からずそう思った
手紙からとってレタと名付けた
レタは厄介な同居人になった
レタは原型をとどめることが出来ないらしかった
だからいつも私の後を 滑るようにしてついてきた
レタはコップ とりわけ透明のコップ
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