「竜の瞳」(マオウと忠男と電球と)/仲本いすら
 

忠男が眼を覚ますと、そこは扉だらけのだだっぴろいフロアだった。
確実に、先ほどまで気持ちよく寝ていた臭い部屋ではない。
「目が覚めたようだな」髪の毛が妙にカールした男が、忠男の肩にぽん、と手をのせる。
オウサマがお待ちだ、と言うと彼は忠男を立たせフロアの奥へと導いた。
フロアを行けども行けども、扉ばかりが続き
すべてのドアノブに「マオウ在住」と言うカードが下げられていた。
かれこれ10分は歩いただろうか、最初に居た場所となんらかわりのない道を
延々と歩かされ、ある意味精神的にまいっている。サディズム。
正直、自分がなぜこんなところに居るのかまったくもって納得していないのだが

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