たちくらみのバラッド /狸亭
 
のながいソファーの
寝心地はすこぶるつきでまったくおそれおおい
古式タイマッサージを足裏にぼくは果報者

いつまでもこのままじっとあけがたまで
つよくてやわらかい愛撫がつづいてほしい
夢はさめるものであることはあくまで
現実のものでぼくの心臓の鼓動はもろい
かたわらでかわされる男たちの会話はおもしろい
夜は底の底までふけてゆきいつしか中野
西新宿からタクシーでべんりな都市はありがたい
たのもしきわが詩友の愛妻の笑顔ほのぼの

こんあふうにはじまった無頼はどうも面目ない
たよりない日々をくらすとおい夏空のかなたの
女たちの顔がういたりしずんだりやりきれない
まだこの胸のおくにゆれつづけるふぞろいな角。
 
(押韻定型詩の試み 39)


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