たちくらみのバラッド /狸亭
 
歩道橋の階段に足をかけたのはもう深夜で
街道をゆきかう車のライトがやけにはやい
ひさしぶりに気分が昂ぶっていてなんで
突然そんなふうになったのか皆目わからない
下半身から力がぬけてよろよろとたよりない
いっしょにのんで前後してあるいていたふたりの
びっくりしてさけんでいるらしい声がとおい
脳天からすうっと血がひいてぼくは厄介者    

くもり空には星がぼんやりけむってまるで
この世ではないような異空間が展開   
ぼくをけんめいになってささえている四本の腕
からみついてくる愛情のようにやわらかい
ふたりの女はいずれもタイにいるはずで不可解
かつぎこまれた「火の子」のな
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