捨てられた花/紀ノ川つかさ
 
花屋の裏のゴミ捨て場
まだ明け切らぬ朝のうち
しおれた花が捨てられる
汚い花も捨てられる

 バカな詩人が花屋の前で
 どの花もきれいと歌っている

花屋の主人は仕事熱心
お客を失望させたくない
わずかな欠陥を見つければ
お客を思って摘み取っていく

 バカな詩人が花屋の前で
 人も一人一人みんなきれいだねと
 歌っている歌っている
 目を輝かせて歌っている

早く来い来い回収車
詩人の夢を壊さぬように
早く来い来い回収者
みんなの夢を壊さぬように
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