Bother Me./仲本いすら
 
石が転がった

誰かが蹴ったわけでもないのに
空虚に住まう誰かが
大きくため息を
したからかもしれない


人が堕ちて行った

誰とも知らないまったくの赤の他人なのだが
堕ちていく瞬間の
苦し紛れの笑顔は
僕に似ていた


何もかも消えてしまえばいい
そんなどこかの魔王みたいな台詞

もう、聞き飽きてる

頭では 剣の舞 が 漂っている


人が堕ちて行った

それは確かに自分だったはずなのだが
いつのまにか
入れ替わっていて
僕は窓からそれを見ている


石が転がった

窓から見ている僕は
その石を転がした本人を見ていたはずなのだが
いかんせん
眼が曇って
なにも見えない


頭では 剣の舞 が漂っている。



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