アメフラシ/
大覚アキラ
虹色のアメフラシが
ベランダのクワズイモの葉の上を
ぬたり
ぬたり
と這っている
(そんなはずはない)
風が吹くたびに
アメフラシの体表の突起が
グラスファイバーのように色を変え
ぼくはそれに
触れてみたくてしかたがない
(そんなことはあるはずがない)
指をそっと伸ばして
蛍光色に輝く
その突起に触れるか触れないか
その瞬間に
アメフラシは掻き消えた
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