冬の寝床/むらさき
月よ
明るい夜にしてくれないか
昼と見間違うほどの
白い明かりで照らしてくれないか
わたしがそっと
吐息を洩らす瞬間を
にぎやかなその光で
包んでほしい
そうして
できることなら
一晩中
永遠についての歌を
静かに歌ってほしい
忘れさせてくれないか
死ぬだろうことを
今咲いたばかりの薔薇は
いつか枯れることも忘れ
誰もいない公園で
幸せな孤独を噛みしめている
わたしも
無感覚な夜更けのように
死ぬだろうことを
思い出さない
ほのあたたかい寝床で
呼吸をするのみだ
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