くもの巣と赤い葉/
 
秋の終わり 
街路樹の狭間で
主人の居ないくもの巣が
所在無さげに揺れている


いつの間にか
冷たくなった空気に
震える肌

きつい陽射しを負う背中だけが
何かがにじむように熱く

変わらない自分と
移り行く景色を感じて
ただただ 
焦ることに忙しい


何故
いらないものや
近づいてくる終末
がなければ
気付かないのだろう

くだらなかったはずの
日々も
逃げ出してきた
あの場所も
終わって行くものは皆
愛しく思える



秋の終わり
街路樹の狭間で
赤い葉が空中に静止して
あまりにも綺麗だった


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