言葉が蝶のように/
ベンジャミン
思い通りに喋れない
言葉が言葉になりきれずに
まるで蛹みたいにうずくまっている
戸惑いや迷いが
細い糸のようにからまって
いつしか自分自身を閉じ込める
繭になる
吐き出された溜息が
真冬の寒さに耐え切れず
視界を白く覆ってゆくように
ぼんやりと浮かぶ
その
言葉とは程遠い息を
ふーっと二つに吹き割れば
まるで蝶の羽のように見えたから
きっと
囁くくらいの声でも
届いてくれはしないかと
消え行く間際に目を閉じてみる
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