立冬に ひかり/
はな
さくらえびの交尾を見ていた
ながれぼしのように
ひかっては すきとおってゆくすがた
桜雨のふるころ
線路わきの
石塀をわたっていたあなたの
風のような背を
おもいだす
あの日
つまらないことは大声で
と
僕たちは
やくそくしたから
そっとはなした手はおが屑のように
とてもちいさく かるかった気がする
僕はいく度
あなたに
さよならを言っていただろう
手を振るような かざぐるまのおと
ちいさな荷物をほんのひとつ
片手に
戻る
編
削
Point
(17)