立冬に ひかり/はな 
 
その中で 支度をする

なお、ひかる
くるしいまばたきに
ゆびのすきまからあふれ
染みを
のこして






あの日
髪をきってほしいと言った
初冬だった
あさひがのぼるまえの
しんしん冷える
つめたいふとんのうえで
ひとり、
おきあがる
ひがしに 背をむけていた


カンガルーの夢は
みていると
すこし酔ってしまうから 
だからいつも
めをとじていることができない と
わらっていた
目醒めた時
ふと、夜明けの 
つくられてゆくさなかの町にいて
はぐるまのおとが
みみもとで ひびいていた



あの日
魚屋の水槽で

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