過去が積もって/
健
上昇していく海を
泳いでいた
常に水面から顔を出しているのに
何故か息苦しい
いっそ
どこまでも沈んで
深海魚の餌になりたかった
けれど
空気を吸いすぎてしまったからか
風船のように膨らんだまま
浮かぶことしかできなかった
澄みきった青は
底の方にあったような
でもそれは昔のこと
さっき見たばかりの
過去が流れていて
積み重なって海は
上昇していく
囚われて
どこにもつかない足が
落ち着かない
水上に立って
踏みしめて進みたいと
切に
願った
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