白秋ー2005/がんさん
 
谷地出でて 宵待ち月の 淡さかな   


竹伐るや 響くは子らの 声ばかり  


雁鳴くや 湯呑み一つの 影法師   


栗落ちて 音暖かき 背戸の闇    


夕暮れて 青き蜜柑の 酸っぱさよ   


葦火たつ 郷の水辺の はるけきや   


宵闇の 奥より届く 犬の声     


哀しくも 泡立ち草の 繁る野や    


ふるふると うつす命か 秋の水   


東塔の 軒の暗さや 秋の暮れ      


巡る夜は 猫と二人の 月見かな    


秋の夜は みゆきの唄に 人肌の酒    


木の間から
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