里芋/大覚アキラ
 
ふと
寂しくなったので
何か作ろうと思い台所に立つ

頂き物の里芋がたくさんあったので
とりあえずそいつを煮ることにして
丁寧に皮を剥いて丸くする

冷蔵庫に鶏の挽肉があった
さやいんげんまであるという
この素敵な偶然

この時点で里芋は
そぼろ餡かけに決定

艶やかなそぼろ餡を纏った里芋は
さっきまでの薄汚れた茶色い姿とは
丸っきり別人
いや待てよ
別芋というべきか

ともかく
そいつをつまみながら
焼酎の水割りを飲む

旨い

旨いが
いっそう
寂しくなった

どうしてくれるんだ
里芋め
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