【短歌祭参加作品】体内宇宙(遊泳)/容子
瞼裏、無数に散らばる星のくず此処にも体内宇宙が在った
行きますと勇んで飛び立つ君の性ロケット一台操縦者の君
破かれた宇宙の入り口塞ぐ君リモコン押せども戻りはしない
こんなにも小さな輪を持つ躯故、土星の輪まで鳴き声響く
息揚がり絡み波打ち今君とスプリングする宇宙遊泳
素粒子のひとつぶひとつぶ色づけばシーツの染みに花開く赤
果て終わりぐんなりもたれる君の背を宇宙を論したガリレオが抱く
幾千の命の亡骸手に掬いごめんなさいと口へ弔う
傷物のわたしを眺める椅子に居る置いてけぼりの昨日のわたし
この躯せめて口から清めよと体内宇宙へ一口の酒を
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