谷底に立って/
 
一人の子供が山を登っています
とっても急な斜面です
それでもあきらめたりはしません
山の上には凄い景色があるんだと
おじさんが教えてくれたからです

子供は時々休んでは
また同じ夢を見ます
そこには
広がっています
見下ろすばかりの風景です


今日も子供は山を登ります
頂上はまだ見えません
地上はいつもすぐそこです
おじさんがいつも手を振っています

子供は時々休んでは
寝っころがって見上げます
そこにあるものは
とってもちっぽけに見えるのに
みんなは大空と呼びます


今日も子供は山を登ります
いつまでも登り続けます




頂上と呼ばれた場所からは
一面に広がった平野が見えて
みんなが喧嘩しています
遠くには本当の山も見えます

谷底に
おじさんが立っていて
空を遮っている崖を
見上げ続けています

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