鳥モノ帳/蒸発王
 
或る日
森の中

猟師に出会った

彼は
鳥が好きらしく


持っていた
大きな麻布の中から

沢山の鳥をだして


味見をさせてくれた



カモは
名月の味
松茸に似た匂いが香ばしい

サギは
雪雲の味
口に入れると直ぐに溶けて甘い


ウズラは
花火の味
舌の上でぱちぱちと弾ける


薄切りにされた鳥を
つまんで
2人

高台の上で
アタシの作った
昼間の酒に酔っていると


彼は



これからとっておきの鳥を捕まえます




と言って
立ち上がり



くたびれた
太陽が落
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