何もない空に/健
じわり じわりと
滲んでゆく景色に
何も浮かばない
黒いばかりの失敗の後にも
得るものは ありますか
歩きながら
理由付けに必死
空にも
この街にも
何も無かった一日にも
過ぎていってしまうから
存在なんて
確かでないから
無駄なことなど何一つありません
そういうおとぎ話があって
擦り切れるまで読んだ
それは
ある種の呪文の一つで
唱えれば唱えるほど 禁断に近づく
気付けば もっと精巧な品を
求めている
そうしているうちに全て 滲んでいって
あれから雨が降り続けたというのに
いつまでたっても
虹が出ない
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