貝殻の道の上で/ベンジャミン
 
で歩いてきたのかもわからないくらいの
貝殻の道の上で

水平線の太陽が
海原に赤々とした道を描いていたけれど
それは違うのだと思いました

わたしは
また貝殻を踏みしめて歩き出すと
満ちてきた潮に濡れた
まるで泪のようなその一つ一つに
さよならを告げてゆきました

もう冬の寒さの中
波しぶきが雪のように舞う日のことです

ゆっくりと
とてもゆっくりとでしたが
わたしは帰る場所を思い出していました

帰る場所があることに
心の底から感謝したいと思える

貝殻が
泪のように輝く日のことでした


        
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