フラグメンツ #61〜70/大覚アキラ
 
ない
 ちっとも楽しくなんかない
 でも帰らない



#63

 ひらめきの向こう側に
 ゆらゆらと飛び退る
 からだごと弾け散り
 にやにやと眺めてる



#64

 お茶の時間になって
 ぬるい紅茶と湿気たクッキーが
 テーブルの上に無造作に出された
 誰一人として
 カップに手を伸ばそうとはしない
 クッキーはどんどん湿気を帯びて
 眠い午後が過ぎてゆく



#65

 たぶん
 わたしは
 狂っている

 狂っているから
 こんなに
 クリアなのだ

 クリアだから
 狂っていることが
 よくわかる


[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(3)