伝言/落合朱美
どうしたら君に届くんだろう
たとえば木洩れ日が
レースのカーテンに映した
まだら模様のさざめく言葉たち
秋の一日は
誰もがみんな一人ぼっちと云いながら
肩を寄せあって群れている
季節が廻り
またいつかと同じような冬がやって来て
窓の高さまで雪に埋もれてしまう
雪には音があるんだよ
真夜中じゅう雪は
しんしんしんしんと唄っている
そんな歌があることを
君は知らない 知ろうとしない
どうしたら君に伝わるんだろう
僕らはいつもたくさんの
光と言葉と歌に囲まれて生きているから
寂しいなんてないんだよ
たとえ冬に閉ざされても
かならず春が訪れて
顔を上げて眩しさに目を細める
そんな日があることを教えたい
俯きつづける君のために
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