ボレロに耐える−めざせ最強ミーハー/佐々宝砂
世の中は変わってゆくけど、変わり方はおっそろしくのんびりしていて、どこがどう変わっていくのかよくわかんない。ちょっとずつ変わりながら繰り返し繰り返し続いてゆくボレロのよう。詩もそう、音楽もそう、物語も、映画も。すべてがボレロ。私は、ボレロに耐えなきゃならない。どこかで見たような議論。どこかで読んだような、自分自身も書いたことのあるような、それどころか閑吟集にすらありそうな、単純な恋唄。盛り上がるかに見せて終わりもせずまた下降し延々と続くこのボレロに、あなたは耐えなくてもいい。ボレロに耐えるのは、ボレロに耐えることによって旋律のわずかな変化を見つけて狂喜するのは、単なる私の個人的な趣味だから。
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