怪獣ギロン/大覚アキラ
 
が取り交わされたが
具体的な対策は一向に導き出されることはなく
議論の焦点はどんどんずれていった

だいたい「爆弾」というものはどこまでを指して「爆弾」というのか
原水爆の使用までも視野に入れた発言なのか

という意見もあれば

「攻撃」という概念そのものの定義付けがなによりもまず最優先であり
それが明確な共通認識となるまではいかなる攻撃も行うべきではない

という意見もあり

怪獣ギロンはその外見上の特徴から哺乳類の一種であると考えられ
現在貧困国が抱えている食糧問題解決の光明となりうるのではないか

などという意見もあった

怪獣ギロン対策本部では
相変わらず混沌とした議論が取り交わされ続けたが
何一つとして結論らしきものに辿り着くことはできないまま
不毛な議論だけが延々繰り返されていった

そんなある日
怪獣ギロンは突然背中の翼をはためかせ
どこかへ飛び去ってしまった
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