追 憶/藤原 実
 
 祈りの言葉のように
  あなたのことを語れたら
  いいのに」

門の外の噴水のところ
少女がなわとびしてるのを
しゃがんでみている母親
の眼に青いバラの花をつめている息子
が船乗りの唄をくちずさんでいる

 「でも
  わたしのたましいは
  ずいぶん詩からはなれてしまった」

やがて
最後の船が出て行き
月も全部かけてしまうだろう

そしたら
テーブルクロスにされたピカソを
なぐさめてあげる



         (1998/01/29 08:06)

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