ナダレ遊戯/カンチェルスキス
曜日だけはおぼえている
寒いから季節だけはようやくわかる
閉じたままの傘が傘入れにちゃんと入ってる
雨が降った日はいつのことか
雨のせいで色が変わったジーンズの裾が
まだここで濡れている
全身が導火線のない火薬だった
もしかすると言葉をしゃべれたかもしれない
毛皮をひっはがすといくらか金になったかもしれない
四つ足の動物たちが
洞窟から湧き出た火砕流の渦に
飛び込んでいく
はずむ軌道を線で描いたら
すべてがからまった
それをずっと見てたら
吐き気がしてきた
窓のサッシで小さな蜘蛛が
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