恋に似てるけどそうじゃないもの/佐々宝砂
 
ゴミ箱を探してみたけどなかった
まあ当たり前なので気落ちしない
道ばたの石ころをひっくりかえしたけどなかった
これも当たり前なので気にしない

実を言えば私は知ってる
オズはあの空の彼方にあって
ほんとうのナルニアもあっち側にあって
私の洋服ダンスはいつまでも単なる洋服ダンスで
オズの魔法使いは単なるおっちゃんなのであり
どこにも白い壁の緑のドアはない

オズの魔法使い程度の魔法でよいなら
私もひとつふたつ使えるが
そんなまやかしを使ってみても
あっちにゆけないことは明白なのだ

だけど今日は明るい秋晴れ
ねえアスラン
私は何度も転ぶよ
私は何度も躓くよ
あなたが見捨てないことを私は知ってる

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