Give me/Terry
 
んな生活を送っていて心を占めていたのは、そのころ覚えた虐待という言葉といじめ。インターネットでその語句をキーワードに検索してみると、子供の虐待ホットラインにたどり着いた。そこには虐待としつけの境界線が難しいと書かれていた。その記述に対する憤りは、そんなものも定められていないのであれば、つまり虐待児達にとって日本には人権がないというものであった。高校生にして私はただただ献金するのみ。
 現在はサラリーマンをして妻子もいる。虐待児保護活動に積極的に参加しては愛の手をさしのべる。虐待問題も改善されつつある。それでも拭いきれないものがあった。本当は私がこのように助けられたかった。幼い私に今の私がテレビを与えてやりたい時空を隔てた悲痛。だが、年がたつにつれてその子供は追憶の彼方へと消えていく。妻子とともに過ごす日々が消化してくれるのだ。

*この物語はフィクションです。
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