アド・バルーンより愛を込めて/EnoGu
走してくれたり
いろいろ高価なプレゼントをくれたりした。
昼間やっていた事務の仕事は会社が傾きかけていたし
名義貸しやなにかの面倒に巻き込まれたくなかったのですぐ辞めた。
オーガナイザーの仕事はひとまず順調だったのだが
恋人のDJが修行と称してニューヨークへ渡ってしまって以来
どうでもいいレゲエのイヴェントばかりやるうちに興味を失くした。
「賽の河原で石を積むようだ」
そう云って男は空いたグラスをカタカタさせて笑う。
男の仕事は商事会社の建設部門で今度南アフリカのどこかに運河をつくるのだそうだ。
ホント、人生なんてわからないものさ。
これは男の口癖。
詩人として一時
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