『Kiss-Piss ネットワーク』/川村 透
 
派閥の旅愁にすこぶる尿意をかきたてられて、地下街を歩くボクの背
を誰かが押すのホントウはボクはアタシでも、きちんと男物のグレー
のスーツだってシャツもネクタイも鼠っぽく、キめてるバレるはずな
んてない髪も、ポマードで七三に撫で付けて、メガネもキュッっと四
角くてああなんて導尿部が長いのかしら下腹、が尿意に疼いて乳房ま
でもが少し

ボクの背を押すどころか肩にまで指を這わせて臭い息の歯を派を剥き
出しにして顔を近付けてその
誰か、が、耳元で、ささやく

「Kiss?いやPiss・秘す。」

ぺちゃくちゃといやらしい声、笑みを浮かべた係長の腕が肩を抱けば
薄暗くほの赤く提灯
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