夏の終わり/
キナコ
午後5時過ぎ 河原沿い
向こう岸から響く音声
帰るあてなど無い僕に
それは何を望むのですか
うっすらと白い月
夜が足早に訪れる
僕を此処に置いたまま
大三角が支配した天体
織姫と彦星の終局を
ただ 虚ろな瞳で
見守るわけでもなく 眺めて
ああ
あの場所に
いつかの僕と貴方を
見い出してしまいそう
決して消えることのない距離を
手探りで
憎しみを覚えて
それすらも愛しくて
総てを抱き締めて
傷つき
傷つけられて
今なら許せるから
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