(アイスカフェオレとアイスココアと愛情と嫌悪による独白)/あめ
 
いる父を横目に
このだまが意外とおいしい、なんて
そんなことを思ったのだった



そんな、ことを
思い出してしまったのだ
今は口をきく事もないと言うのに
思い出して、しまったのだった


夕食を食べながら
私を廃人だと言った父の後頭部を見つめてみた

つまりこれはココアと同じで
私の温度を上げるなんて無理だし
どんなに頑張ってかき混ぜたって
この茶色く甘い粉が
冷たいミルクに溶ける事はないのだと言う事を
今日の私は思い知らされた
カフェオレはそれなりに綺麗に溶けたのに
愛情は嫌悪に溶ける事はないらしい
人の感情と記憶とはとかく
不愉快で気の利かない
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