うらない/岡村明子
 
壁中に
血痕
が散っている夢を見たとして
それが
結婚
のメタファーだと
言われたら
私の結婚は
壁に描かれた模様のようなものなのですね

言ってみたくなる
言ってみたあとで
それが
真実でないと
自分の言葉を否定することは
結構難しいかもしれない
占いの術中に囚われるとき
真実は
あるいは
現実は
ただ言葉を待っているだけなので
動物や
寿司や
家電にすら
喩えられることも
受け入れてしまう

   *

高田馬場の駅前は
今日も薄暗くて
うらない
という看板で商売をしている人は
こんな寒空の下
閑古鳥が鳴くことも知りながら
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