そこはかとなく/みもる
 
君は言う
もっと愛して欲しいと

僕は
まとわりつくでもなく
突き放すでもなく
つかず 離れず
そこはかとなく
君を愛す


君は言う
あなたの夢はなんなんだと

僕は
突風の前のマッチ棒の炎のように
今にも消え入りそうになりながら
それでも火種は絶やさずに
そこはかとなく
いつまでも燻り続ける


君は言う
共に歩いて行こうと

僕は
愚痴を言いながらもそれなりに頑張り
死にたいとは思ってもそんな勇気もなく
夜中まで遊んでも結局朝8時に起きる体を作り
夢も希望も持ち合わせてはいないが

田舎の山のふもとの
時の止まった清流のように
そこはかとなく

十数年もの先の君との道と
仕事の後のビールと
新作の映画と
これから訪れるもしかしたらの未知のために
そこはかとなく

生きる
そこはかとなく
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