偏食 番外編/落合朱美
 

しかも男は働かない

私は毎日身を粉にして働いて
疲れきって帰った後は
男が食べられる数少ない食材を駆使して
味良く見目良く料理を作る

男は私の留守中に我が物顔で部屋を占領し
あるときは私のパソコンを勝手に開けて
書き溜めていた詩を勝手に添削し
あろうことか某投稿サイトに投稿してしまった
激怒したもののその作品が
いままでにない高ポイントを得てしまったので
ぐうの音も出ない

疲れ果てた私はいつも
今日こそは追い出してやろうと思うのだけど
哀願するような瞳で見つめられては思い直し
上手なキスには抗えず敢えなく沈没する毎日

せめてもの報復に男のために作る鶏団子に
摩り下ろしたニンジンを混ぜてみる
明日はピーマンも入れてやろう
明後日は豚の挽肉も混ぜてやろう

偏食はいけない

そうよ
人間夢ばかり食べて生きてはいけないのだから




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