尾崎喜八「山の絵本」を読む/渡邉建志
 
の、卓に置かれたヴァイオリンの函のような」ときたよ! 絶句です。

喜八さんはさらに歩き、そしてまた自然を褒め称える。

この天地の大いさは、そのままに見る者の気宇を大ならしめずにはいない。 p.35

すごい一文です。見る者の気宇を大ならしめずにはいない。使っていきたいので暗誦です!

六本木ヒルズの大いさは、そのままに見る者の気宇を大ならしめずにはいない。

文はそのままこう続きます。
{引用=
 いい朝だ。四本の柱の間へつながれた牝牛から、酉義君が乳を搾っている。牝牛は厭がって綱の長さの許すかぎり歩きまわる。それを追掛けて彼の手が薔薇色の乳房を長く
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(3)