フランケンシュタインの夜/千月 話子
 
   入眠


夜を行く 夜行列車の端から端まで
眠れないという あなたの背中を
私の恋を知る 二年の黒髪で覆い尽くす


やがて 足が滑らかに滑り落ち
月の無い夜を 黒豹と翔け行くのだろう


そこから 私達の手と手を手繰り寄せ
今は 出口の無い水路を
後ろから抱き締め 漂う


ノンレムが 瞼の震えと引き換えに
しんしんと色を変え 見えなくなるまで





   人形作家


停電の夜だから 
得体の知れないマシマロという菓子を置く
ベランダの銀の手すりに


光るもの 白く光るものがこの世の救いで
網膜が意識する唯一の今は 
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