流してしまえば/
 
テーブルに突っ伏していると
教室を思い出す
騒がしいクラスメイトの声
10分の休み時間

顔を上げ現実に戻ると
雨が降っていて 
久々に歩きたくなった


誰もが傘を広げて
顔の見えない町
湿った空気に溶け込んだ痛みが
肌に突き刺さる

フラフラと駅前の本屋へ行き
週刊誌を立ち読みしながら
地下鉄の走る音を聞くと

螺旋階段が
モノクロフィルムのように
浮かび上がって
古ぼけたマンションを思い出させる

レジの脇に詰まれた山の中には
惰性で集めている漫画の最新刊が
少しだけ残っていた
発売日はいつだったんだろう


濡れてしまえばいい
全て流してしまえばいい
傘は置き去りにしよう
忘れられるさ 



そう思って外へ出たのに
ジーンズは乾いてしまって


なんだ
雨は 止んだのか

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