闇にいななく/フユキヱリカ
 
 
闇夜に 嘶く


「そんな つもりじゃ

 なかったんだ」

 って、


言ってみたって
きのうまでのわたしを

簡単に
捨ててしまったんだ


いつのまにか雲は
わたしを盲目にさせ
てのひらをにぎるより
たやすく潰した

引き千切って
全部、全部
消した


呼吸すること、 だけ
おぼろげに記憶する
拡声器に成った唇は
やわらかな刺が這い
その誰かを傷付けて
しまったってときに
気が付いたとしても

きみを

そこにあったきみの日も
消してしまったんだから

ずっと
ひとり

そう、
ひとりだと

知って いきてゆく


暗闇に吠えた

きみへ
声を枯らしたい

ほんとは、

両手のなかで光っていたんだよ



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