ノッポ君へ/蒼木りん
君が夜勤のデスクで欠伸している頃
わたしの襟足は寒いから
結んだ髪をほどいて
お化けみたいになってる
メールする相手がいて
いいね
メールするのが苦じゃないなら
尚更いいね
首と肩を温める湯たんぽがないかなと
わたしがぼんやりしてるころ
君は缶コーヒー相手に
将来を展望している
心を亡くすような日々にも
少しは慣れてきたから
やっと我が道を歩けそうだけど
なんかこのまま
雪崩れてゆけばいいな
年末まで
こんな状態が
いつまで続くかわからないけど
知らなかったことに気づくって
悪くないね
案外
君はクリスマスとか
好きだったりするのかな
わたしは
年末年始のこたつが好きなんだ
ノッポなのに
首をすくめて歩く君は
たぶん
よしよししてもらいたい子なんだろう
当たっているかどうか
今度試してみるよ
子どもの癖に
何でも知っているような顔の
サイレンススマイルに
怯む
わたしが気にしてることも
悟ってるよう
言葉に詰まって固まる
わたしに
惚れるなよ
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