−/ヤギ
「よし、じゃあスモウを取ろう」
そう言うとそいつは泣いたままビックリした顔をしていたのですが、僕が強引に体育館へ引っ張ってゆくとスモウを取る決心をしたようでした。心の中がパンパンになって熱くなってしまっていたけれど雨のせいで体は少し冷えていて、準備体操に少し四股を踏みました。
どしん、どしん。
勝負をつけるとかそういうことではなかったです。
「おし、こい」
ばしん、とぶつかります。
そいつは体がすこぶる大きかったので一気に土俵際まで押されました。けれど僕も負けません。しっかりと腰を下ろしながらマワシの辺りをがっちりつかみ、力いっぱい押し返します。先ほどまでのそいつへの憎しみ
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