空は/「ま」の字
 
おおきな赤ん坊の寝床だ
そして赤ん坊は
不可解にして かつ世に堂々のあるじぶりだった
赤ん坊が這い出していったあと
どうしてこのようなしわくちゃのものが遺ってしまったかについては
世界は調査すべき者も回答すべき者もはじめから用意してはいない
いやいやそういうことじゃないんだなあ
おおきなおおきな赤ん坊が空で寝てた はいはいしたりもした
これこそなんつーかなあ

そこでふー、と一息ついて彼は言った
「ま、タバコでも吸えや」

昼ごろ私は湮滅して 
声だけが残った 
わたくしと彼と 曲り角の向こうの誰ぞとが
ここでいうところの どうにも神話的なひとびとだ


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