鳥/「ま」の字
 
我が浮力は何ぞ
この鳥ならば考えたに違いない

何を見ても灰色

我じたいが灰色に充たされた浮体であるとき
眼から脳までの
ながいながい距離

山岳を漸くにして越えると
途方もない大洋があらわれる
青はいまだあらず
ただ褶曲し 延伸しつつある 
天涯の光景

己の声のみひび割れて
そらに 倦み

意志にあらず 望みにもあらず 
忘却なり
地と海の
炎々たる斥力


 太陽がぢっと。

 危殆に瀕する。

 わたしを濤のようにみおろして。


昼夜を分かたず飛翔すれば翼は徐々に赤熱し

よるもひかる


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