鳥/「ま」の字
我が浮力は何ぞ
この鳥ならば考えたに違いない
何を見ても灰色
否
我じたいが灰色に充たされた浮体であるとき
眼から脳までの
ながいながい距離
山岳を漸くにして越えると
途方もない大洋があらわれる
青はいまだあらず
ただ褶曲し 延伸しつつある
天涯の光景
己の声のみひび割れて
そらに 倦み
意志にあらず 望みにもあらず
忘却なり
地と海の
炎々たる斥力
太陽がぢっと。
危殆に瀕する。
わたしを濤のようにみおろして。
昼夜を分かたず飛翔すれば翼は徐々に赤熱し
よるもひかる
戻る 編 削 Point(5)