【短歌祭参加作品】星の音/一代 歩
宇宙では人は一人と気づくはず 濃い闇のなか手もつなげずに
幾千の星ひとつずつ消えゆくをともに見ようか願いなどせず
音楽が鳴り止んだから席を立つ 椅子取りゲームは不参加の君
リモコンで強制終了させられて待機電力消費する吾
スプリングひとつ失くして未完成 足りないものを宙(そら)に探して
身を削り常に前進、逝き先は想像しない無人ロケット
あなたならきっと動かず流れない星となってもガリレオのまま
幼き日特別だった土星の輪“宇宙”といえばあの輪描いて
星の音(ね)が聞こえますかと訊きし彼 去りしそばから届く音色よ
素粒子と成りても吾を取り巻いてそこここに在る君のかけらが
飲んだ酒、そのまま目から出てきたわ冬の星座を滲ませただけ
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