月と音楽/セキラボ!
夜、自転車で街を疾走った
団地の上で月がいびつで
僕は口笛を吹いた
本当は聞こえて欲しい
夜風が冷たくなってきた
君の家の灯りが見える
君の部屋
指さき
ひとみ
かみ
く
ちびる
僕の胸では涙が柔らかい温度で
揺れていた
夕陽のよう
いつも君の後姿をなぞっていた
校舎を抜けた並木道の
そこでは
神様の音楽が吹き溜まっていた
そこを
君だけが通り抜けることが出来る
そんな気がした
僕は自転車をこぐ
精一杯
街を突き抜けようとして
けれどもどこまで行っても街は街で
君の部屋の灯りを脳
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