異葬/いとう
 
遺さずに
消えるものはない
指先で
痕をなぞると
血の滲む感触
知っている
拒んでいる

肌の震えは
接する場所を
浮き彫りにして
揺れる
境界
けれども
破れることなく
混じることなく
棘、と呼ばれる
強靭な
その
ことなり

ほうむる
あとの
さきの
ひびの
きえる
これ
以上は
失った
言葉を拾おう

知っている
あれは
私の涙だ


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