家族歌/一代 歩
 
父に宛てて


父からの京都土産の簪(かんざし)をさすこともなく歳を重ねて

破天荒。こんな娘に誰がした?苦笑しつつも宝だという

「もし人を殴るとしたら親指は内に握るな折れたら困る」
物騒な父の教えを身に着けて遠隔操作で守られる吾

大抵はしかめっ面の父怖し、笑い目尻によるしわ愛し

「これだけは譲れないものひとつでいいみつけたのなら意地でも守れ」
忘れない父(あなた)のくれた格言をいつか私が果たせる日まで


母に宛てて


こんな手じゃ指輪は似合わないからと後ろ手にした母にダイヤを

母に似た吾を時々見つけてるざっくばらんな生き様だとか
[次のページ]
戻る   Point(8)