灰色の空/
吉岡孝次
僕はきみといると楽しいし
きみも僕といると楽しそうだけど
わかるかい
そんなのは全部嘘っぱちなんだ
真実として二人を貫くのは
僕等がまだ完全じゃないってこと
掲示板に貼られたポスターみたいに
たった数ヵ所 ピン止めされているに過ぎないってことなんだ
欲望は薄っぺらくて
電車を待つ間も苛立たしく湿っていた
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